PHPの件から考える情報漏えい
みなさま、こんにちは。
ラストコンパスの田中です。
突然ですが、情報漏えいの「犯人」と聞いて、どんな人を思い浮かべるでしょうか?
パソコンに向かう悪いハッカー、という姿を想像される方が多いと思います。
もちろん、そういうケースもあります。
ただ、10月下旬に話題になったPHPの件を見て、私は少し考えが変わりました。
PHPとは、多くのWebサイトやWordPressなどで使われているプログラミング言語です。
10月、このPHPの深刻な弱点(脆弱性)が公表されました。
研究者が事前に見つけ、修正版を準備していた最中のことだったそうです。
こうした弱点は、悪用を防ぐため、修正版の公開まで詳細を伏せて進められることがあります。
ところが、修正版が出る前に、弱点の番号や公開予定の日時がSNSや海外の掲示板に出回ってしまいました。
これを受けて、修正版の公開は予定より1日前倒しになりました。
印象的だったのは、公開予定を投稿した人のその後の説明です。
伏せておく取り決めがあることは知らなかったそうです。
目的は、同じ立場の人たちにアップデートを急ぐよう知らせることだった、と説明し、謝罪していました。
本人の説明を見る限り、悪意はなく、むしろ「よかれと思って」の行動でした。
私がこの件から学んだことは、大きく2つあります。
- 一度出た情報は、取り消せない
この件では、弱点を見つけた側が攻撃方法を示す動画を誤って公開してしまう出来事もありました。
動画はすぐに削除されましたが、その間にコピーが広まっていました。
削除ボタンを押しても、情報は戻ってきません。
個人情報もまったく同じです。
- 「よかれと思って」は、どの会社でも起きる
住宅会社の日常に置き換えてみると、思い当たる場面はないでしょうか。
・お客様の情報をすぐ共有したくて、個人のLINEで送る
・早く資料を作りたくて、お客様の名前が入った文章をそのままAIに貼り付ける
・完成した素敵なお家を紹介したくて、表札や周りの景色が写った写真をSNSに載せる
どれも、仕事熱心だからこそ起きることです。
だからこそ、気づきにくいのだと思います。
そして、住宅会社だからこそ特に気をつけたいことがあります。
それは、私たちが扱う情報の多くが「防犯情報」でもあるということです。
住所、間取り、窓や玄関の位置、引き渡しや入居の時期、ご家族の構成。
これらがそろうと、「どの家に、いつ、どこから入れるか」がわかってしまう恐れがあります。
一般的な個人情報の漏えいでは、迷惑メールや詐欺の被害が心配されます。
しかし住宅会社の場合、被害はお金だけでなく、お客様の「暮らしの安全」にまで及ぶ可能性があります。
さらに、住宅会社は紹介や口コミでが重要な商売です。
「あの会社に頼んだら、家の情報が漏れた」
そんな話が広まれば、信頼を取り戻すには長い時間がかかります。
では、どうすればよいのでしょうか。
私からお伝えしたいのは、もっとシンプルなことです。
情報を送る前、載せる前、貼り付ける前に、一瞬だけ立ち止まる。
「これは、出してもいい情報だろうか?」と自分に問いかける。
たったこれだけですが、「よかれと思って」の漏えいを減らす、いちばん確実な一歩だと私は考えています。
ルールは会社がつくれます。
しかし、最後にボタンを押すのは一人ひとりです。
お客様が安心して暮らせる家を建てることと同じくらい、お客様の情報を守ることも、私たちの大切な仕事だと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。