AI活用の次の一歩は、「判断を残す」こと

みなさまこんにちは、髙藤です。
前回の記事で、AIとの付き合い方が「調べる」から「任せる」へと進んできた、と書きました。あれから、その流れはさらに加速しています。
AIは、もう「良いもの」を作ってくれる
セミナーの資料も、社内向けの資料も、このブログの下書きも。作りたいものを伝えれば、AIはそれなりに良いものを作ってくれるのです。しかも、見栄えが良い。
数年前は、AIの文章に手を入れるのが前提でした。しかし、いまは出てきたものがそのまま使えてしまうことも珍しくありません。「もうこれで十分では」と思う瞬間もあるほどです。
出来上がったものに、答えられない
ところが最近、新しい悩みが出てきました。
みなさまも、こんな経験はございませんか?
AIが作ってくれたものを前にして、「どこを直したのか」「なぜこの形にしたのか」「穴はないのか」と聞かれると、うまく答えられない。やり取りの中で、たしかに何度も直したはずなのに、です。
わたしにも覚えがあります。以前AIと一緒に作ったセミナー資料。中身は悪くないのですが、どのページが自分の判断で、どのページがAIの提案のままなのか、いまとなっては思い出せません。
1回きりの資料なら、それでも困りません。しかし、問題はその後です。
半年後に同じ資料を使い回そうとしたとき。担当を人に引き継ぐとき。別の用途に展開したいとき。判断の記録が残っていないため、結局ほぼ作り直しになってしまうのです。「速く作れた」はずなのに、後からそのツケを払っている、ということです。
わたしが参考にしている「4回路+証跡基盤」
この悩みに、どう向き合うか。
ある方がnoteで公開されている記事を参考に、わたしはClaude(AI)に仕事を任せる環境を作っています。
その方が「4回路+証跡基盤」と呼んでいる考え方です。
専門的な言葉を避けて、思い切って平たく言えば、AIに仕事を任せるときに決めておくことは5つある、という整理です。
・何の情報を見てよいか ・いつ止まり、誰がOKを出すか ・どこを触ってよいか ・何をもって良しとするか ・誰が・いつ・何を根拠に決めたかを、記録に残す
家づくりに例えるなら、図面と仕様書、そして工程ごとの検査に近い感覚です。感覚だけで建て始めるのではなく、何を基準に、どの段階で、誰が確認するのかを先に決めておく。現場では当たり前にやっていることを、AIとの仕事にも持ち込む、というイメージです。
大事なのは、これが「作った後に説明できる」ためだけの仕組みではない、という点です。作る前に合格ラインを決め、作っている途中で止まる条件を決めておく。つまり、作る前・作っている途中に「制御する」仕組みでもあるのです。
見栄えの良いものができることと、安心して展開できる状態であることは、別物です。前者はAIがどんどん解決してくれます。しかし後者は、任せ方の設計でしか手に入りません。
わたしの小さな実践
わたし自身も、セミナー資料や社内向けの資料、このブログのような記事づくりで、少しずつ実践しています。
まず、作る前に「何をもって完成とするか」を決めてから任せる。「いい感じに」ではなく、「受け取った相手が、これを見てどう動けるようになっているか」を言葉にしてから渡すのです。これを決めるだけで、出来上がりのブレが小さくなり、直す回数も減っていきます。
さらに、AIが迷ったら止まって、わたしに確認してくる条件を決めておく。勝手に判断して進んでほしくない箇所に、先に線を引いておくということです。全部を任せるのでも、全部を自分でやるのでもなく、その境界線を決めるのが人間の役目のはずです。
そして、何を根拠に作り、どこを直したのかが、記録として自動で残る仕組みにしておく。半年後のわたしや、引き継いだ相手が「なぜこうなっているのか」を辿れるようにするためです。
正直に言うと、最初はひと手間に感じました。しかし、業務におけるレールをCaudeで構築しているおかげで、あとから「結局作り直し」になる場面は目に見えて減ったと感じています。
人間の仕事は「判断を残す」ことへ
AIの進化で、「作る」こと自体はこれからどんどん解決されていくはずです。
では、人間の仕事はどこに残るのか。わたしは、「なぜそう作るのかを決め、その判断を残すこと」だと考えています。求められるのは、判断力と、それを言語化する力です。
前回、AIが進化するほど人間力の価値が上がる、と書きました。判断し、言葉にして残す力は、まさにその中身のひとつのはずです。作るのが速くなった分だけ、「何を作るか」「なぜ作るか」を決める人の重みが増していく。AIの進化は、やはり脅威ではなく追い風です。
ラスト・コンパスでは、工務店経営のヒントをお届けするセミナーも開催しています。
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それではまた。