「うちは狙われない」は通用しない時代

こんにちは。
ラスト・コンパスの山本です。
ここ最近、「個人情報が漏えいしたおそれ」というニュースを本当によく目にします。
10月に入ってからだけでも、誰もが知っている企業の名前が次々と並びました。
いつもAIをテーマにした内容ばかりですが、今回はセキュリティに関して述べていきたいと思います。
それにしても、最近の情報漏えいは規模が違います。
数百万件は当たり前、1,000万件を超える漏えいの発表が、ひと月の間にぽんぽんといくつも出てきています。
まさに爆発的に広がっている、という印象です。
記憶に新しいのは、カーシェアの「タイムズカー」の件ではないでしょうか。
Webシステムへの不正アクセスで約660万件の会員情報が漏えいし、
そのうち約160万件は、運転免許証などの本人確認書類の画像まで含まれていました。
しかも対象には、すでに退会した方の情報も含まれています。
ほかにも、大きな漏洩の発表が次々と続いています。
正直、ニュースを追いかけるだけでも大変なくらいです。
背景の一つには、やはりAIがあります。(またAIの話ですみません笑)
これまで日本は、日本語という壁に守られてきた面がありました。
海外からの詐欺メールは日本語がどこか不自然でこんなのに引っかかる人いないやろって思うレベルでした。
ところが今は、AIを使えば誰でも自然な日本語が書けてしまいます。
さらに、AIを悪用してウイルスを作った19歳が逮捕されるなど、攻撃そのもののハードルも下がっています。
この前は高校生も摘発されてました…。
もう一つ気になったのは、「その会社自身が直接攻撃されたわけではない」ケースが多いことです。
ある大手クラウド事業者が攻撃を受けた件では、そのクラウドを使っていた500弱の企業・自治体に影響が出ました。
ある大手カラオケ事業者では、委託先の社員のパソコン1台がウイルスに感染し、
約870万件の情報が漏えいしたおそれがあると発表されています。
パソコン1台で、870万件です…。
自分のところで起きると考えると冷や汗がびっしりです…。
取引先、使っているクラウド、社員一人ひとりのID・パスワード等
どこか一か所が破られれば、そこから情報は出ていきます。
「うちは小さい会社だから狙われない」と思われる方もいるかもしれません。
ですが、警察庁の発表によると、2026年上半期に報告されたランサムウェア被害は123件と過去最多とのことです。
しかも、そのうち79件、約6割は中小企業です。
詳しく調べたところ、建設業と不動産業で合わせて17件の被害が報告されています。
むしろ守りが手薄な会社ほど狙われやすい、というのが現実ではないでしょうか。
住宅業界にとって、決して他人事ではありません。
家づくりのお客様からお預かりする情報は、氏名や住所だけではありません。
年収、勤務先、家族構成、ローンの審査情報、運転免許証や源泉徴収票のコピー等々、、、
ここまで踏み込んだ個人情報を扱う業界は、そう多くないと思います。
では、何から始めればいいのか。
私もセキュリティの責任者として色々整備しておりますが、
難しい専門知識よりも『当たり前』をきちんと仕組みにすることが大切だと思っています。
1 お客様の情報が「どこにあるか」を書き出す
顧客管理のツール、協力会社、金融機関、顧客とのやりとりにおいて、
どこに、どんな情報を渡しているかを今一度確認することです。
2 持たなくていい情報は持たない
お引き渡しが終わったお客様の免許証のコピーや、ローン審査の書類。ずっと保管したままになっていませんか?
もちろん、法律で保存が決められている書類は、その期間きちんと保管する必要があります。
ですが、期間が過ぎたものや、そもそも保存の決まりがないものは、ルールを決めて消す。
「とりあえず全部ずっと持っておく」が、一番危ない状態です。
タイムズカーも再発防止策として、本人確認書類の画像は「確認が終わったらすぐ削除する」ルールに改めました。
持っていなければ、漏れることもありません。
3 ログインの「鍵」を守る
パスワードの使い回しをやめる、二段階認証を必ず設定する、退職者のアカウントはすぐに止める。
当たり前で地味ですが、ここが一番の入口です。
「日本語が自然だから本物」とは思わず、メールのリンクはまず疑ってかかるくらいでちょうどいいです。
4 「止まったとき」の動きを決めておく
使っているクラウドやシステムが止まったら、顧客台帳や工程表をどう確認するのか。誰に連絡するのか。
漏えいだけでなく、業務が止まることも立派なセキュリティ事故です。
どれも、聞けば「そんなの当たり前」と思うことばかりかもしれません。
ですが、その当たり前がなんとなくになっている会社がほとんどではないでしょうか。
大事なのは、人の注意力に頼るのではなく、ルールとして決めて、仕組みとして回すことです。
以前のブログで、「AIにどこまで任せるか、境界線を決めることが大事」と書きました。
セキュリティも同じで、「誰に・何に・どこまでの権限を渡しているか」を決めておくことが基本になります。
便利さと守りは、セットで考える必要があります。
また別のブログで中学生時代の商売で情報が漏れて失敗した話を書きましたが(笑)、
情報は一度外に出ると取り返しがつかない、というのは今も昔も同じですね。
セキュリティは「何も起きないこと」が成果なので、どうしても後回しにされがちです。
ですが、お客様が大切な情報を預けてくださるのは、「この会社なら守ってくれる」と信頼してくださっているからだと思います。
その信頼に応えるためにも、セキュリティはしっかりとやりましょう。
この機会に一度、自社の「情報の置き場所」と「鍵の管理」を見直してみてはいかがでしょうか。
皆さんにとってもこの話がプラスになりますと幸いです。
山本