働き方改革法施行への準備は出来ていますか?
働き方改革によって、日本人の働き方がいま大きく変わろうとしています。
そして企業がこの変化に順応することが出来なければ、
数年の後に淘汰の対象となることが予想されます。
今年(令和2年)の4月からは従業員300名以下の中小企業においても、
時間外労働法的上限が施行されます。
さらに翌年には、同一労働同一賃金も対象内となります。
さて、この変化に対する準備は出来ていますか?
経営者が十分に理解して対応していかなければ、
気が付いたら労働基準法違反を犯してしまったり、
ブラック企業のレッテルを貼られてしまうかもしれません。
もしまだ理解が不十分な経営者様がおりましたら、
しっかりと背景や内容を理解して、備えましょう。
それではまずは背景から。
2017年10月に安倍総理大臣が一億総活躍社会を目指し、
下記の3つの大きな目標を発表しました。
【3大目標】
1. 国内総生産600兆円
2. 希望出生率1.8
3. 介護離職0
いずれも現状の日本を考えると非常に高い目標と言えるでしょう。
そしてその目標に向い「1億総活躍国民会議」が発足され、
平成28年6月に「ニッポン一億総活躍プラン」が閣議決定しました。
このプランは、新しい3本の矢と呼ばれる
1. 希望を生み出す強い経済
2. 夢を紡ぐ子育て支援
3. 安心につながる社会保障
の3つ実現を目指しています。
しかし、これらを達成するためには、
多様な働き方が可能となるような制度の大きな転換をしなければならないと考え、
具体的な対策として「働き方改革」を打ち出したのです。
つまり、
「3大目標」を達成するために「ニッポン一億総活躍プラン」があり、
「ニッポン一億総活躍プラン」を達成するために「働き方改革」があるという図式です。
先は長いですね。
さて、働き方改革ですが、
・同一労働同一賃金
・長時間労働の是正
・高齢者の就労促進
の3つを重要課題に挙げており、他にも、
・最低賃金の引上げ
・子育て、介護と仕事の両立支援策の充実
など計13個の項目において実行計画が立案されています。
さて、その中で中小企業の経営者様が最も気を付けなければならないのは、
「長時間労働の是正」でしょう。
これまでは36協定で定める時間外労働の上限は定められておりませんでしたが、
法改正後は、1カ月45時間、1年間360時間が法的上限となります。
もちろん繁忙期など理由がある場合には、
月100時間や2~6ヶ月平均が80時間以内と特別条項が認められています。
しかし、「決算」「大規模なクレームの対応」「機械トラブル」など、
明らかな理由がなければ認められません。
これだけでも一時的な生産性の低下は否めないでしょう。
(さて、ここでこの文章を読まれている方の多くは建設関連業と仮定して続けます。)
しかし、多くの方はまだ安心していることでしょう。
なぜなら、ご存知の通り建設業は法的上限規制の期間適用が
5年間猶予されている特殊事業だからです。
そのため、2024年4月より施行となります。
それなら安心♪
と思った方、安心しないでください!
いまのうちから準備をしておかないと、2つの理由から苦しむことになります。
1. 人材の採用や確保ができなくなる
さて、建設業は5年遅れてスタートになるわけですが、
他の業種は違います。
残業は月45時間以内が当たり前になります。
建設業は認められているからと言って、残業を60時間もさせてしまっては、
他の業種から見るとブラック企業そのものに見えてしまうかもしれません。
人材採用の足かせとなり、また現社員の確保にも支障が出てきます。
2. 4年後に生産性が激減する
あと4年間の猶予があるからと言って、
4年間現行のまま多くの残業を社員にさせてしまった場合、
法改正後には単純に労働時間分の生産性が落ちます。
そうならないためには、徐々に労働時間を減らし、
生産効率を上げる工夫をしておかなければなりません。
いまだけでなく、4.5年後以降も強い会社であるために、
期間の猶予があるからと言ってそれに甘えずに、
いまのうちからしっかりと準備しておく必要がありますね。
法改正に疑問や不安がある方、相談に乗ります。
お気軽にお問い合わせください。
後藤