軽視できない残業代問題

こんにちは!
ラストコンパスの笹川です。
今回は、住宅会社における「残業代」に関して、記載していければと思います。
退職後の未払い残業代の請求案件が急増しており、一人あたりの請求額は1.5~2倍(推定)、請求件数は2020年以前と比べると約2倍になっています。
なぜかというと、未払い残業代の請求対象が過去2年から過去3年に引き伸ばされ、以前よりも高額な残業代を請求できるようになったため本人と弁護士側においしい状況となってしまったためです。またさらに怖いのは、求人情報や雇用契約の内容から、残業代のルールが「無効」とされてしまうと、会社が残業代として払っていたつもりの残業代部分が「単なる基本給」とみなされ、過去3年分・全時間の残業代をまるまる二重払いさせられる事態が発生しています。
さて、皆様の給与体系では、残業代はどのような取扱いになっていますでしょうか
大別すると、適法な支給方法として5パターンくらいあります。
①実残業時間に対して都度計算
これは、最もトラブルの少ない残業代の出し方です。社員ごとに対象月に残業した時間数に対して残業代を計算して支給するだけです。残業が少ない企業に向いています。この場合は、分単位での計算が原則必要となります。
②固定残業代として支給
これが現在最もポピュラーな残業代の出し方です。
あらかじめ月ごとの残業時間を「30時間」等のように決めておき、毎月30時間残業したとみなして固定金額を支給するパターンです。固定残業時間を超えた分は、通常の残業代と同様に支給が必要です。
この制度を行う場合は、厳格なルールがあります。
例えば、「何時間分の固定残業代なのかを明記する事」や「超過残業時間に対しては追加支給する旨の記載」、「これらの内容の雇用契約への明記」等は必須の条件となっています。
③事業場外みなし残業制
これは営業担当や現場担当に多いですが、会社が労働時間を把握しづらい時に活用できます。勤務時間の実態に関わらずに、「所定労働時間」または「その職務に必要な時間」働いたとみなして残業代を支給します。この「その職務に必要な時間働いたとみなして」とは、例えば、9時間働いたとみなす場合には、1日1時間の残業代を計上します。本人との同意は原則不要ですが、実情と乖離している場合には違法となります。
最近では遠隔での勤怠管理システムが増えているため、減ってきている制度です。営業担当なら、「営業手当」のような名称で支給されることもある残業代です。(実質、残業手当)
労使でトラブルの多い制度です。
④専門業務型裁量労働制
これは設計職に置いて活用されることがあります。
国が指定する特定の専門職に対して、労使協定を結んで、その人に対する所定労働時間を設定できます。例えば、1日の所定労働時間を10時間、1か月の営業日を20日とした場合は、40時間分の残業代は支給します。但し、実際に月10時間しか働いていなくても、逆に月80時間働いていても、一律で「月40時間分」の残業代が支払われます。ここが②との違いです。③は同様に、みなし時間をこえても超過分の支払いは原則不要です。
⑤フレックス
1か月に使える総労働時間枠を決める仕組みです。例えば、週40時間が所定労働時間の会社の場合は、40時間÷7日×30日=171.4時間のように総枠を決め、超えた分は通常通りに残業代を計算して支給します。働き方を本人にゆだねるため、いつ休むかも本人次第です。但し、週1もしくは4週に4日の休日は取得させる義務が会社にあります。リモートワークを採用しておりかつ担当の能力が一定以上ある場合に採用している傾向があります。
ちなみに管理職に対する残業代を役職手当で充当している会社は多いですが、休日出勤はその範疇とみなしてOKである一方で、深夜残業は管理職でも支給する必要があります。
残業代の支給の仕方を適正におさえて、企業リスクを低減してもらえたらと思います。
それでは、失礼します。
笹川