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住宅営業のインセンティブについて考える

こんにちは、後藤です。

 

最近では、私の元へ届く問い合わせの7割は、

人事評価制度や給与規定に関するものとなってきています。

 

働き方改革をはじめとする残業規制や

最低賃金の上昇などの世の中の動きに対応するために、

人事制度の導入及び改善に取り組む会社が多いようです。

 

さて人事制度に関連して、

今回はタイトルの通り住宅営業における

インセンティブの話をしたいと思います。

 

営業スタッフに対しての

意欲の着火剤として効果的なインセンティブ制度ですが、

設計次第では、営業の質を大きく下げてしまう可能性があるという、

少し怖い話をしていきます。

 

さて、数多くある人事制度の中でも、インセンティブ制度は、

最も取り組みやすい制度ではないでしょうか。

そのため、実際にインセンティ制度を導入されている会社も

多いようです。

 

しかし、人事制度を以前も述べさせていただいた通り、

「会社が望むべき人材の在り方へ社員を導くためのもの」

と定義するのであれば、

その目的を果たすことができるインセンティブ制度を実施している会社は

非常に少ないように感じます。

 

人事制度においては全般に言えることですが、

制度の設計を間違えてしまうと、

人材は向かうべき道を間違えてしまい兼ねません。

 

例えば、仮にインセンティブを、

受注棟数 × 〇万円 と非常にシンプルな設計にしたとします。

 

非常に分かりやすいというメリットがありますが、

デメリットとしては、この制度のせいで

受注単価と利益率が下がってしまう可能性があります。

 

何故かというと、このインセンティブ設計では、

1500万円の家を1棟受注するのと

3000万円の家を1棟受注するのとでは、

支給額が同じになります。

 

受注する難易度は、当然3000万円の家の方が困難です。

3000万円の家の方が競合も多く、

また受注までの期間も長くなります。

しかし受給額は一緒です。

 

これでは、営業スタッフは安い家をたくさん受注することが、

最も多くのインセンティブに繋がるので、

自ずと平均単価は下がっていくのです。

 

では、売上をベースにしてはどうでしょうか?

 

売上の◯%が支給額というようなインセンティブ制度も多くあるようです。

これなら1500万円の家よりも3000万円の家を受注した方が

2倍貰えるわけですから、

受注単価の減少を抑えることができます。

それどころか、平均受注単価はいままでに比べると上がるでしょうね。

 

しかしここでも一つ問題が。

同じ受注金額であれば、

粗利が多く残ってもそうでなくても支給額が変わらないということです。

 

例えばAさんとBさんが2000万円の家を契約した場合、

Aさんはお客様に十分に付加価値を提案することができ、

粗利を30%残しました。

一方Bさんは競合と合い見積もりになり、

最終的に値引きによってなんとか契約しました。

しかし粗利は20%しか残すことができませんでした。

 

Aさんは会社に600万円の粗利を残しました。

Bさんは400万円です。

しかし売上がベースである以上、

同額を支給することになります。

 

これでは、利益率を高くすることよりも、

契約率を少しでも上げるために利益を削った方が得をしてしまいます。

 

例えそのように営業スタッフが動いてしまったとしても、

それは営業スタッフが悪いわけではありません。

そのように動機づけしてしまったインセンティブ制度が悪いのです。

 

他にも、売上を上げさえすればインセンティブが貰えるからと言って、

強引な営業やフォローを疎かにすることで地域の信用を無くしたり、

クレームを発生させてしまうことに繋がることもあります。

 

もちろん上記の例は、

・営業スタッフが自らの意志で受注金額の増減をすることができる

・自らの意志で値引きや利益率の増減ができる

というのが前提になっています。

 

もし、

・営業は見積りを弄ることができない

・売値が決まっていて契約時の粗利率が上下しない

という仕組みがあれば問題ありません。

 

 

また、契約時をインセンティブのカウントとした場合、

1月に契約した場合、翌月の2月にインセンティブが支給される)

営業スタッフは契約後のことに興味が薄れてしまい、

その顧客との連絡を怠ってしまったり、

振込依頼の連絡を忘れて入金が遅れてしまったりすることもあります。

 

このように制度の設計を間違えてしまうと、

営業の質を著しく下げてしまい兼ねません。

 

しかし逆も然りです。

上手く設計することで、営業の質を上げることもできるわけです。

 

例えば簡単な例を挙げると、

営業に最終入金までしっかりと意識し続けて欲しいのであれば、

インセンティブの支給を2回に分けると良いです。

1回は契約の翌月に、そしてもう1回は最終入金の翌月に支給します。

 

すると営業スタッフは、

なるべく早く残りのインセンティブが欲しいわけですから、

契約後であっても意識から外すことをせずに、

お客様と早めに連絡を取り、期日にしっかりと振り込みされるよう

段取りを組むことでしょう。

 

このように、

インセンティブも「他社がやっているからなんとなく」ではなく、

人材育成や企業文化の醸成へ繋がる重要なものと捉えて

導入することをお勧めいたします。

 

今回はここまでです。

作成の手順やポイントは次回お伝えいたします。

 

後藤

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