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住宅業界の歩合制度について考える

いつもブログを読んで頂きありがとうございます。
ラストコンパスの秋岡です。

本日は、住宅経営者の皆様から特に相談の多いテーマである「歩合制度」についてお伝えしていきたいと思います。

住宅業界は高単価の商品を扱うため、営業担当者のモチベーション管理や成果の見える化が難しく、歩合制度の設計が経営の成否を左右する場面も少なくありません。

歩合制度は、うまく機能すれば営業力の底上げや業績の向上につながりますが、
運用を誤ると離職率の増加や社内の不公平感、利益率の悪化など、
経営に悪影響を及ぼす可能性もあります。

住宅会社が歩合制度を導入する際に押さえるべきポイントをお伝えしていきたいと思います。

<歩合制度の目的を明確にする>

歩合制度は“成果に応じて報酬を支払う仕組み”ですが、
その本質は「会社と社員が同じ方向を向く仕組みづくり」にあります。

しかし、制度設計の段階で目的が曖昧だと、社員を競争させるだけの制度になり、
長期的な組織成長につながりません。

例えば、
・売上の拡大を優先するのか
・利益率の向上を目指すのか
・顧客満足度の向上を重視するのか
・若手の育成サイクルを確立したいのか

目的によって、歩合の比率・算定基準・対象となる行動指標は大きく変わってきます。
制度作りの前に、まずは経営戦略と歩合制度の方向性を一致させることが重要です。

<売上歩合ではなく「粗利歩合」にする重要性>

売上ベースの歩合は、一見シンプルで運用しやすいように思えますが、
粗利率の変動を見ない制度になりやすく、

・過度な値引き営業
・利益率を軽視した契約の獲得
・原価意識の低下

につながる可能性があり、経営を圧迫する原因となります。

売上は増えても会社の利益が減り、結果として経営にダメージが蓄積されていきます。
そのため、歩合制度は「粗利ベース」で設計することが重要なポイントになります。

粗利歩合にすることで、営業担当者は自然と値引きを抑え、付加価値ある提案を行うようになります。
また、会社としても利益が安定し、継続的な経営基盤を構築できます。

<社内の公平性を担保する仕組みが必要>

歩合制度は、人事制度の中でも特に不公平感が生まれやすい仕組みです。
住宅会社の場合、担当する商圏やモデルハウスの立地、広告投資、引き継ぐ案件の質など、環境によって成果が左右される場合があります。

そのため、公平性を保つための工夫として以下のような方法があります。

・新規来場数に差が出ないよう案件の配分ルールを明確化
・広告予算が店舗ごとに大きく異なる場合は歩合率に調整を加える
・契約だけでなく、プロセスも評価に含める

こうした「運ではなく実力で評価される」仕組みを整えることで、
納得感が生まれ、離職率の低下やチームワーク向上につながります。

<歩合制度を成功させる本質は「透明性」と「一貫性」>

歩合制度がうまくいかない会社の多くは、「制度はあるが、理由が不明確」という状態になっています。
社員が納得できる制度にするためのポイントとして、

・誰が見ても分かる明確なルール
・経営の方針と制度がブレない一貫性

が重要だと考えています。

制度が変わりすぎると、社員が不安を感じ、モチベーションを失う原因になります。
導入後の運用こそが歩合制度の成否を分けるポイントだと言えます。

<さいごに>

歩合制度は、経営戦略と現場の努力を結びつける非常に重要な仕組みです。
正しく設計すれば会社の成長を後押しし、営業組織を強化する強力な武器になります。
反対に、誤った歩合制度は業績と組織文化の両方に悪影響を及ぼします。

今回の内容が、歩合制度の見直しや構築の参考になれば幸いです。

それでは

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