属人化の落とし穴
属人化の落とし穴
ラストコンパスの田村です。
「うちの会社、営業マンによって言うこと違う…?」
このように思ったことがある方は要注意です。
営業が目標を達成していく姿を見るのって、会社にとって最高の喜びですよね。
でも、そんな成長を応援するはずが、
かえって足を引っ張ってしまう「落とし穴」があるのをご存知ですか?
それが、「属人化」なんです。
最初は「この人にしかできない仕事!」なんて言われると、なんだか嬉しいものです。
個人のスキルや経験を活かすって、効率的にも見えますよね。
でも、実はこの「属人化」は、
長い目で見ると会社にとって大きなリスクになる可能性があるんです。
持続的な成長を妨げ、せっかくの努力が泡と消えてしまう…なんてことも。
なぜ「属人化」がそんなによくないのか?
簡単に言うと、
「特定の誰かに頼りきりになって、その人の知識ややり方が会社全体に広まらない」ということ。
特に、人を育てる場面でこの問題はハッキリと現れます。
もし教育内容が属人化していたら、こんな困ったことが起こりがちです。
「あの人にしか教えられない」状態だと、その担当者が異動したり、退職したりしたらどうなるでしょう?
教育が完全に止まってしまって、後任者はゼロから手探り状態。
せっかくのノウハウが失われて、時間もコストもムダになってしまいます。
ほかにも
担当者ごとに教える内容、その深さ、クオリティ、
さらには教える順番までがバラバラ…なんてこと、ありませんか?
ある人は丁寧に基礎から教えてくれるけど、
別の人は応用から入ったり、大事なことを教え忘れていたり。
これでは、学べる内容にムラが出てしまいます。
結果として、新しく入ってきた人が「誰に教わるか」で、
その後の成長スピードや仕事の習熟度が大きく変わってしまうんです。
新人さんにとって不公平なだけでなく、会社全体の仕事のレベルに大きな差を生んでしまいますよね。
「やる気」にも影響が出てしまうかもしれません。
実は私も、前の職場で「属人化」の怖さを痛感した経験があります。
当時、6人の営業メンバーを3つのチームに分けて、
新人指導はそれぞれのチームリーダーに任せました。
各リーダーの得意分野を活かして、いろんな教え方ができる!
と思っていたんですが、
結果は想像をはるかに超えるものでした…。
数ヶ月後、チームごとの営業成績はもちろん、新人の成長度合いにも大きな差が出てきたんです。
フタを開けてみたら、
あるチームでは営業の「いろは」がすっぽり抜けていたり、
別のチームでは独自の解釈が間違って伝わっていたり…。
間違った覚え方をしてしまった新人が続出して、
お客様への対応にまで影響が出かねない状況に。
結局、私たちは大規模な「再教育」をする羽目になったんです。
これがもう大変で…。
通常の教育の倍以上の時間と労力がかかり、
お客様への価値提供が遅れただけでなく、
会社全体の売上にも大きなダメージを与えてしまいました。
この経験を通して、私は本当に「属人化」の恐ろしさを感じました。
「一時的には効率よく見えるけど、長い目で見たら、とんでもない非効率とリスクを生む」と。
それに、指導する側も「なんでうまくいかないんだろう?」と原因が特定しにくくなって、
どう改善したらいいか分からなくなる…という負のループに陥ってしまうことも痛感しました。
結論:お客様の成長を本気で願うなら、属人化は卒業!
誰が担当しても、同じ質を提供できるように、
私たち自身の知識やノウハウ、仕事の進め方を、会社全体で共有して「スタンダード」にしていくこと。
これが何よりも大切だと考えています。
私自身も、今サポートさせていただいている企業様では、
「人によって違うことを言わない」ように、常に細心の注意を払っています。
これは、個人の経験やアイデアを否定するわけではありません。
「仕組み」として会社全体に広げて、誰でも安定して高いパフォーマンスを出せる環境を作りたいからです。
一人ひとりの力だけでなく、チームとしての力を最大限に引き出し、
いつもブレない高品質なサポートを提供し続ける責任がある。
心からそう思っています。
田村