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「伝えたつもり」と「分かったつもり」

ある日、上司のAさんが部下であるBさんに仕事を依頼しました。

A「このカタログをS社さんに送ってくれ。今日中に頼む。」

B「(今日やること多くて結構忙しいんだけどな…。)

は、はい。分かりました。」

そして、Bさんは日中を忙しく過ごし、
その日の夜にカタログが入った封筒をポストに投函しました。

翌々日。

Aさんの元に、S社さんからのクレームが届きました。
今日使う予定のカタログが届いていないと言うのです。
(そんなばかな、確かにBさんに依頼したのに、なぜ??)
Aさんは大慌てでBさんに事実確認をしました。

そこで、Bさんが夜に投函したため、本来翌日に届くはずのカタログが、
翌々日の到着になってしまったことが判明しました。
Aさんは鬼の形相でBさんに問い詰めます。

A「なんですぐに出さなかったんだ!急いでいるのは分かっていただろう!」

B「そんな急ぎだったとは聞いていません。
あの日は忙しくて、すぐに対応できなかったんです。
それに、言われた通りその日のうちに出しましたよ。
その日のうちってことは、日付が変わるまでに出せばいいものだと思ってました。」

A「今日中に出せと言ったんだから、
翌日には到着させて欲しいことくらい、言わなくてもわかるだろ!
それに、忙しくて無理ならその時にそう言えばいいじゃないか、
そうすれば他の人に任せることもできたんだ!」

B「(言われた通りやったのに、文句言うなら自分でやればいいじゃないか)
はい、すみません。次から気を付けます。」

こんにちは。ラストコンパスの後藤です。
今回は、ビジネスにおいて必要不可欠な能力である
「コミュニケーション」に関する内容です。

さて、上記のやり取りを見て、いかがでしたか?
コミュニケーションに問題を抱えていることが一目瞭然で分かります。
中には、「なんてレベルの低い仕事をしているんだ」
と呆れた人もいるでしょう。

しかし、この話は大袈裟だとしても、
「伝えたつもり」や「分かったつもり」など、
コミュニケーションの問題によって、
仕事の能率に影響が出ることは、どの会社にも経験があることでしょう。

先程の2人、どちらが悪かったのでしょうか?
そして、どうすればよかったのでしょうか?

まずAさんですが、致命的なミスを犯してしまっています。
それは、「目的」を告げていないことです。

「S社が明後日カタログを使用するから、明日までに届けたい」

という目的を伝えていれば、
Bさんは「今日中」=「日付が変わるまで」
という認識にはなりませんでした。

また、今回は問題ありませんでしたが、
「目的」と合わせて「手段」も伝えるべきですね。

Aさんは「カタログを送る」=「郵送」と思っていたかもしれませんが、
Bさんはメールで送ると理解してしまうかもしれません。

このように、情報というものは伝えなければ伝わらないものであり、
できるだけ相手が誤解することなく正しく理解するように、
思いやりをもって伝える必要があります。

一方、Bさんはどうすればよかったのでしょうか?

Aさんが指示した「今日中」という言葉の表面のみを受け取ってしまいました。
しかし、Bさんは伝え手であるAさんの発した言葉の内部までも
理解しようと試みなければなりません。

「なぜAさんは『今日中』と言ったのか、明日だとマズいのか、
いつまでに先方に届けばいいのか、…」

このようなことを考えていれば、Aさんの意図を理解できたでしょう。
半信半疑だとしても、質問することはできたはずです。

そして、仕事が多くありすぐに着手できないという状況を伝えて、
依頼を断ることができたかもしれません。

いずれにしても、クレームになる事態は防げたはずです。
このように、Aさん、Bさん共に、原因があることが分かります。

伝える側は、ただ「言う」ではなく、できるだけ相手が理解しやすいように、
受ける側は、ただ「聞く」ではなく、相手の意図まで読み取って、
この2つをキャッチボールをするように交互に繰り返すことによって、
はじめて円滑なコミュニケーションが生まれます。

「伝えたつもり」、「分かったつもり」になっていないか、
いま一度、ご自身や周囲をご確認ください。

後藤

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