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年に一度は給与制度の見直しを

こんにちは。
ご存じの通り、10月1日より地域別最低賃金の改定が行われました。

今回の改定では、過去に例を見ない額の引き上げが行われ、
最低賃金の全国平均が1004円となり、ついに1000円を超えることとなりました。

引き上げ額は全国平均で43円となり、
すべての都道府県で40~47円の引き上げとなりました。

※特に引き上げ額の多い県
青森:45円
山形:46円
鳥取:46円
島根:47円
佐賀:47円
長崎:45円
熊本:45円
大分:45円

さて、最低賃金が仮に45円引き上げられたとして、
年収にどのくらい影響があるのでしょうか?

仮に年間休日105日、1日8時間就業の場合、
月間労働時間は、(365日-105日)/12×8=173.3時間となります。

45円の引き上げがあった場合には、
173.3×45≒7800円の月収UPとなります。

賞与が1か月×2回支給の場合には、
年収は7800円×14ヶ月=109,200円の昇給となります。

意外と大きいと感じる方も多いかもしれません。

昇給率も計算してみましょう。
仮に基本給が250,000円で7,800円の昇給となった場合、
257,800÷250,000円=103.1%となり、
3.1%の昇給となります。

これは上場企業並みの昇給率の水準と言えるので、
今回の最低賃金の引き上げがいかに大きいかが分かるかと思います。

さて、今回のように賃金改定や労働基準法の改定などがあった場合には、
自社の給与制度、賃金制度を見直さなければなりません。

法律の変化に社内制度を合わせていかないと、
気が付いたら法律違反となってしまうこともあります。

例えば、
高卒1年目の賃金を月180,000円と設定している会社があったとします。
この地域の最低賃金が900円だと仮定します。
また先程と同様に年間休日105日、1日8時間就業の場合、
900円×173.3時間≒155,970円が最低賃金となります。

この場合、月180,000であれば最低賃金を大きく上回っているので問題ありません。

しかし、この賃金に「残業時間25時間を含む」としている場合はいかがでしょうか。

155,970円に残業手当25時間分を含む場合、
900円×25時間×1.25=28,125円が残業手当となり、
155,970円+28,125円=184,095円となります。

この場合、最低賃金を下回ってしまうことになります。

このように残業代を基本給に含む形式の会社(基本給組み入れ型)は注意が必要となります。

実際は最低賃金を下回っており、後々に労働基準監督署の指導の元、
本来支払わなければならない金額の支払い義務が発生する可能性もあります。

トラブル防止のためにも、一度ご確認ください。

また、最低賃金をクリアしていれば問題ないというわけでもありません。
最低賃金は現在の給与水準を示す指標となります。

最低賃金が大幅に上昇しているのであれば、
社員の給与水準も同じように上昇していくのが一般的です。

最低賃金はクリアしているから上げる必要ないと考えていると、
他の企業の改定に置いて行かれることになり、
金銭的魅力のない会社になってしまうかもしれません。

仕事の魅力は給与だけではないと思います。
しかし他の企業であればもっと多くの給与を手にすることができるのであれば、
やはり退職を考える社員も多くなることでしょう。

また、退職した分を採用で補おうとしても、
給与条件での足切りにより採用も困難となり、
企業の弱体化を招き兼ねません。

給与制度、賃金制度は一度作成したら変更する必要のないものではなく、
年に1度は見直しをしましょう。

その際には、
法の改正はもちろんのこと、
大企業や競合他社の状況も情報収集した上で、
既存社員にとっても、就職活動をしている人にとっても、
魅力的な制度になるよう改定をすることをお勧めいたします。

後藤

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