給与を毎年5%増やす方法
給与を毎年5%増やす方法
代表の伊藤です。
近年インフレーションの煽りを受け、また雇用確保のため
あらゆる企業が給与を改定しております。
当社もベースアップや昇給により社員の給与をジリジリと
上げております。社員からすれば、
・物が上がってるんだから給与もあげろ
・大企業がベースアップしてるんだったらウチも上げろ
・そうじゃなくても毎年上げろ(笑)
と思うでしょう。
今回は、給与を毎年上げるということは
「経営上どういうことか」
ということを紐解きたいと思います。
この理屈を理解できていれば、
経営層からすれば
「毎年社員の昇給をしていくためにはどう経営判断すればいいか」
が分かりますし、社員からすれば
「自分の給与を上げるために、会社がどうなればいいのか」
ということが分かるのではないかと思います。
より理解しやすいように、ある住宅会社を仮想的に立てて
仮説を検証していくスタイルでいきたいと思います。
コンパスホーム
・売上 100000万
・利益25% 25000万
・人件費15名 10000万(経営1、営業4、工務3、設計IC4、広報1、経理2)
・経費 10000万
・経常利益 5000万
・受注棟数 40棟(営業1名10棟平均、工務1名13.3棟平均)
・22歳給与 300万
このような会社があったとします。
非常に効率がいいですね。
この会社は素晴らしい会社で、毎年
『昇給率5%』
で社員の給与を上げていこうとしています。
簡単に計算しますと
22歳で入社した人は年収300万からスタートします。
毎年5%上がりますので40歳になるときには
年収722万になります。
計算を簡単にするため、40歳以降は年収は横ばいだとします。
①第一の検証
『人を増やさずに毎年給与を5%上げることは可能か』
・人件費だけ5%上げる
・その他経費は常に10000万
・経常利益は常に5000万
だとします。
そうすると翌年以下のようになります。
・人件費が10000万→10500万に
・その分だけ売上が必要100000万→102000万に(102%増)
・受注棟数が増える40棟→40.8棟に
ということになります。ここまでは楽勝ですね。
では、18年後どうなるかというと、、、
・人件費は10000万→24066万に上がります
・売上は100000万→156265万必要です
・受注棟数は40棟→62.5棟必要です。
回している人数は15名で変わらない仮定ですから
★営業4名で62.5棟取ります(一人16棟平均)
★工務3名で62.5棟回します(一人20.8棟平均)
まあ、出来ないことは無いですが不可能に近いですよね。
『人を入れずに昇給していくということは難易度が高い』
ということですね。
②第二の検証
『人を微増させたら毎年給与を5%上げることは可能か』
・人件費だけ5%上げる
・その他経費は常に10000万
・経常利益は常に5000万
ここまでは①と同じ。そこに下記が加わります。
・2年に一度新卒を1名採用する
そうすると翌年以下のことが必要です。
・人件費が10000万→10800万に(1名採用したので)
・その分だけ売上が必要100000万→103200万に(103%増)
・受注棟数が増える→40棟→41.3棟に
同じように、18年後どうなるかというと、、、
・人件費は10000万→28600万に上がります
・売上は100000万→174000万必要です
・受注棟数は40棟→69.7棟必要です。
回している人数は18年で9名増えて24名体制です。
9名増員中3名が営業、3名が工務に行ったとします。
★営業7名で69.7棟取ります(一人10棟平均)
★工務6名で69.7棟回します(一人11.6棟平均)
これだったら可能ですね。
初期の効率と変わりませんから何とかなります。
この仮説は、物事をかなり単純化しています。
実際人を入れたら、その分だけ車両費や地代、携帯等の通信費など
その他経費が増えますし、採用費用や教育費も掛かるでしょう。
しかし、今回の検証でよくわかるのは、
・売上が現状維持で給与だけ上げるのは不可能
・① 人数を変えずに昇給していこうとすれば
『一人当たりの利益貢献を飛躍的に上げるほかない』
・② 安定的な昇給には人を入れることも現実的な施策になる
ということです。
勿論、折角採用しても退職してしまったり、
教育をし人を育てなければ業務効率は上がりません。
注意しないといけないのは、戦力外の人材が多くなれば
『昇給どころか減給せざる得ない』
という点です。
現状維持を考える経営者も多いと思いますし、
それが悪いとも私は思いません。
しかし、社員の給与を毎年上げるとしたら
定期的に人を入れることを検討してください。
もしかするとそれが最も現実的な方法かもしれません。