SEMINAR 説明会情報 INQUERY 資料請求 TEL 電話

人事評価に自己評価は必要か【後編】

こんにちは。

今回は前回に引き続き、人事評価における

自己評価の考え方についてお伝えします。

 

※前回、前提を伝え忘れておりました。

 あくまでも数字による評価が可能な「定量評価」ではなく、

主観が入り込む「定性評価」に限った内容となります。

 

 

さて、前回の内容で

自己評価を設定することによって起こりえる問題点を

挙げさせていただきました。

 

その点をもう少し深堀りして、

自己評価を設定することによるメリット・デメリットをまとめていきます。

 

そのうえで、

メリットを残しながらデメリットを払しょくする方法について

お伝えいたします。

 

≪自己評価のメリット≫

 

1.納得感の創出

 

仮に自己評価を行わなかった場合、

被評価者は管理者から一方的に査定結果を

突き付けられることになります。

 

査定結果が低評価だった場合、

被評価者は自分の言い分を伝える間もなく、

結果を受け入れるしかありません。

 

人は自分自身のことを一方的に他人に決めつけられることを嫌います。

 

「この管理者は私のことを分かってくれていない」

と不満に思うかもしれません。

 

特に多くの人は他者評価よりも自己評価の方が高いという実験データが出ています。

まともな大人であれば謙遜等によって隠すものですが、

内心では自分自身の価値をまわりは分かっていないと思ってしまうものです。

 

しかし、自身で一度振り返ってみた場合はどのような効果があるでしょうか。

 

まず、頭ごなしに結果を突き付けられた場合と異なり、

一度冷静かつ客観的に自分自身を見ることになります。

 

すると良かった点も悪かった点も見えてくるでしょう。

反省点が全くなかったという人は少なく、

何かしらの改善点が見えてきます。

 

そのうえで管理者に評価結果を伝えられた場合には、

結果に対する納得感は増すものです。

 

さらに、自己評価と管理者評価が大きく異なった場合には、

しっかりと話し合い、言い分を聞くこともできます。

 

またその話し合いによっては、

管理者が把握していなかった成果が発覚するケースもあります。

 

その場合には、管理者の評価を見直すとよいでしょう。

 

2.振り返りの機会

 

被評価者が常に評価項目や目標を意識して仕事をすることが基本ですが、

全項目を意識し続けることは難しいものです。

 

自己評価を設定することで、

査定時には必ず期間内の自身の行動を振り返ることになります。

 

やりっぱなしではなく、しっかりと振り返り、

そして改善を行うPDCAサイクルが自然とできあがる効果があります。

 

 

≪自己評価のデメリット≫

 

一方で自己評価を行うことでデメリットも存在します。

 

まずは前回も延べましたが、

評価者が自己評価に引っ張られるリスクがあります。

 

例えばA,B,C,D4段階で査定をする場合、

仮に自己評価がAであったとすると、

このAに引っ張られていまい、管理者の評価もABに偏りがちです。

 

この現象は、

・本人がAだと思っているのであれば、それなりの根拠があるのだろう

Aだと思っているところをCDの評価にしてしまっては傷つけてしまうかもしれない

・自分の評価に自信がないから自己評価に合わせておこう

などの心理によります。

 

また、自己評価が最終的な評価結果に反映される場合には、

自己主張の強い人材の方が高評価になり、

控えめな人材は低評価になってしまいます。

 

≪まとめ≫ 

 

では、メリットを最大限生かしながら、

デメリットを払拭するにはどうすればよいのか。

 

まずは管理者が自己評価に引っ張られることなく、

正しい評価ができるように意識づけおよび査定の教育を行いましょう。

 

最も効果的な教育は一人の人物を複数の管理者が評価をすることです。

 

ある人はBと評価し、また別の人がCと評価した場合、

なぜその結果になったのかを話し合います。

 

すると、

評価の基準や軸が統一されてくることになります。

 

それでも自己評価に引っ張られる可能性があるようであれば、

自己評価を見ずに管理者は評価を行うフローにするとよいでしょう。

引っ張られる心配はなくなります。

 

次に、自己主張の強い人が得をするという問題点ですが、

自己評価は評価結果に反映させないことをお勧めします。

 

自己評価は行います。

しかし結果には反映されません。

評価結果は管理者の評価によって決まります。

 

これであれば自己主張が強くても結果には影響ありません。

しかし自己評価を行うことによるメリットは生かすことができます。

 

 

このように、人事制度においては

「〇〇をすればうまくいく」、

「△△は絶対にしてはいけない」

というものはなく、

それぞれのメリット・デメリットを理解したうえで、

明確な意図をもって実行することが重要となります。

 

参考にしていただければ幸いです。

 

後藤

 

一覧へ戻る