数字で語るクロス工事の価格交渉
様々な住宅会社様から話を伺うと、ウッドショック以後、
住宅の坪単価を売価で10万程上げた会社様が多くいらっしゃいました。
急激なコスト高の影響で原価の見直しが急務になってきた昨今だと思います。
私は弊社のコスト削減コンサルの担当を行っており、さらに私自身、外部業者様と金額や掛率の交渉を行うこともありますので、
今回は様々な会社様の成功体験や私の経験を基に、「有効な価格交渉」に関してのお話を少しだけさせて頂ければと思います。
価格交渉が上手な会社様は自然と行っていることだと思いますが、交渉は「下げて」ではなく、「●●円にして」と“具体的な数字を示す”ことで交渉が通りやすくなります。
どういう事かというと、上記のように指値を行うことで 交渉相手に
“あなたの仕事の単価や相場に関してある程度理解がありますよ”
ということが暗に伝わり、
その指定した金額がドンピシャな金額であればあるほど
「この人に高い金額で売るのは難しそうだからちゃんとした金額を出すか‥」
となりやすいのです。
しかし、
「じゃあその指値を行う金額をどのようにして算出するんだよ?」
という話かと思いますので、
そこで今回はクロス代金の正しい価格の求め方を例に取りながら、適正金額の算出法を解説していきたいと思います。
(すべてを知りたい会社様はぜひ弊社のコンサルティングメニュー「Leverage」の説明会へお越しください‥)
まず、正しい値上げ金額を知るためには、クロスの原価を抑えないといけません。
もうご存じの方も多いかと思いますが、クロス工事は主には、①クロス ②パテ ③のりで構成されます。
これらの一般的な原価は、2022年10月時点の量産クロスであれば約300円/mです。
元々クロスの原価は180円/m程でしたが、2021年9月の値上げで30~40円/m、
2022年4月の値上げで50~60円/mの値上がりがあり、サンゲツは更に2022年10月に7~12%(20~30円)の値上げがありました。
ですので下記の表に記載しましたが、現在時点では約300円/mということになります。
ここからは㎡単価での求め方ですが、
㎡単価に直すと、クロスのロールは0.9mの横幅ですので、1mで0.9㎡張れます。
つまりm単価に約1.1倍した数値が近似値となります。
値上がり幅の122円を1.1倍しますと約135円/㎡となりますので、
現在のクロスの原価は mであれば約300円/m ㎡であれば1.1倍(330円)ですが、一旦ロスを加味して約350円/㎡にしておきます。
さて、次にクロスの貼り手間ですが、
こちらは正しい金額を出すためには、平均的な貼り面積と人工数を把握する必要があります。
例えば平均的な壁・天井のクロスの貼り面積が約400㎡、人工数は8人工とします。(当然よく建てている建物の形状によりますが‥)
日当を2万円で仮定すると、労務費の総額は2万×8人工で16万。400㎡で割ると
400円/㎡となり、この金額に先ほどの材料費350円/㎡を足しますと750円/㎡ということになります。(上記はあくまで一般論です)
つまり交渉の際に、
「当社では職人さんの手間賃は基本的に日当2万円で見ている」ということを伝えた上で、
「人工数は8人工。直近で依頼した10棟の平均㎡数が400㎡だった。貼り手間の単価は16万の400円/㎡、クロスの原価は350円/㎡として合計750円/㎡でお願いしたい。」
というような手順となります。
もちろん職人さんですので、お願いベースで交渉を行っていくのですが、
協力してもらった暁には年間の発注量を優先して増やしていくことを伝えるなど、ウィンウィンになるように伝えていきます。
上記の知識がなければ、具体的な話にならずに交渉できないこともあるかと思いますので、
ぜひ交渉前に数字で伝えられるように事前準備を行って頂きたいと思います。
今回は一部でしたが、もし1棟あたりの改善を行いたい会社様は
下記を参照ください。