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人事評価に自己評価は必要か

こんにちは。

今回は人事評価におけるよくある質問の中から、
表題の質問を取り上げていきたいと思います。

人事評価に関して査定を行う際に、
自己評価と管理者評価によって評点を算出するという制度をよく見かけます。

ところがこの自己評価には、
大きな問題点がいくつかあるのです。

例えば、下記のような評価項目があったとします。

【評価項目】
・新しい知識や技術、資格の習得など、自己成長への取り組みを実施することができたか

【評価基準】
4,自己成長や成果に大きくつながった
3,自己成長につながった
2,実行したが不十分だった 
1,何もしなかった       

この評価項目に対して、自己評価を行います。
自分自身の過去数か月(評価期間によって変わります)において、
自己成長への取り組みができたのかどうなのかを振り返ってみます。

そして評価基準に該当する成果を1~4の中から選択します。
同様に管理者も被評価者の行動を振り返り査定を行います。

そして仮に自己評価が2で管理者評価も2だった場合、
2+2で4点が評点となります。
※もしくは自己評価:管理者評価を1:2にすることが多いようです。

ところが、仮に自己評価を4とした場合、
管理者評価が同じ2であても、4+2で6となり上記よりも高評価となります。

つまり、自分自身で評価結果をある程度コントロールできることになります。

しかも、
自分自身を俯瞰的に見ることのできない人物や、
自己の能力を過信しすぎている自惚れ屋さんや勘違い君が高評価となります。

一方、
自己主張が少ない控えめな人や、自信がない人、
自分自身を高評価することが美学に反するような人は、
低評価になる傾向にあります。

このようなアンフェアな現象から、
自己評価は必要ないのではないかという考えが強くなってきています。

また別の懸念点もあります。

自己評価の結果を見た管理者が、
自己評価の点数に引っ張られて査定を行ってしまうという懸念です。

例えば自己評価が4の場合、
管理者からすると決して4ではなく、むしろ2が適正な評価だとします。

先入観がない状態での査定であれば2とつけるところですが、
4という自己評価を見てしまっているがために、
2という低評価をつけにくく、間を取った3あたりに落ち着いてしまうという現象です。

中には部下から
・嫌われたくない
・恨みを買われたくない
・いい人でありたい
・恩を売りたい
・傷つけたくない
などという理由で高評価をつけてしまう可能性もあります。

もちろんこれらの現象は制度に問題があるのではなく、
管理者に対する教育の問題です。

特に人事評価制度を新たに導入した企業の場合は、
管理者の性格や能力によって結果に大きな偏りが生まれがちです。

少し本題から逸れてしまいますが、
この点にも触れさせていただきます。

例えば、
厳しい環境で育ってきた叩き上げのA部長は自分自身にも厳しいため、
部下にも同じような成果を期待します。

その結果、A部長が管理しているメンバーは、
平均的な成果であっても低評価になってしまいます。

一方、
競争が苦手で平和を好むB部長は、
自分にも部下にも甘く、
仮に本来低評価に該当する部下がいたとしても、
平均以上の評価をつけてしまいます。

仮に同じような成果であったとしても、
管理者によって評価結果が異なってしまい、
その結果が給与などの待遇に影響するのであれば
士気の低下や退職理由にも繋がり兼ねない不満の原因となります。

このような事態を想定して、
人事評価を始めたばかりの企業は特に、
管理者だけが査定をするのではなく、
経営者や他の役員等も含めて行うことをお勧めいたします。

査定結果には反映する必要はなく、
あくまでも評価結果に偏りがないかどうかの確認です。

そうすることで偏った評価基準が徐々に統一化され、
誰が評価しても同じ結果になるという
人事評価の本来あるべき状況に近づくことができます。


さて、話が脱線してしましましたが、
自己評価の必要性の話に戻ります。

自己評価を実施することによる懸念点をお伝えしましたが、
では自己評価は不要なのかというと、
一概にそうとは言い切れません。

結論を申し上げると、
自己評価のアリ・ナシは、
どちらが正解ということはないと考えます。

それぞれにメリットやデメリットが存在するため、
正しく意味を理解したうえで、
明確な目的があって選択するのであれば
どちらも正解といえるのではないでしょうか。

・では、それぞれにどんなメリット・デメリットがあるのか?
・もし自己評価を入れるのであればどのように懸念事項の払拭をするのか?

今回はここまでとさせていただき、
次回詳しく解説させていただきます。

最後までご覧いただきありがとうございました。

後藤
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