SEMINAR 説明会情報 INQUERY 資料請求 TEL 電話

インボイス制度導入への準備はできていますか?(前半)

こんにちは。
今回は2023年10月より開始が予定されているインボイス制度について、
内容や対策をお伝えいたします。

まず、このインボイス制度については以前より計画されておりましたが、
導入することによるデメリットの大きさや経理業務の煩雑さなどによって、
様々な賛否を生んできました。

その結果、賛成を得るために移行期間として設けられた6年間の経過措置や
簡易課税制度などの救済制度も加わったことによって、
非常に理解しにくく対応に困惑する制度となってしまっているようです。

そもそもこの「インボイス」という言葉自体が分かりにくく、
イメージが湧きません。

また、それ以上に目的も分かりにくくなっています。

例えば、金融緩和政策であれば
「市場により多くのお金を流すことによって景気を回復させる」
ことが目的となります。

他にも子育て支援系の政策であれば、
「出産・子育てによる不安を軽減して、出生率の上昇を実現する」
という明確な目的があります。

ところが、
このインボイス制度は「何のために実行するのか」
がイマイチ分かりにくいので、さらに混乱を招いているようです。

そのため、
「名前は聞いたことあるし事業に無関係ではないとは理解はしている。
でも実際のところよく分からない」
という方も多いのではないでしょうか。

このような法改正関連のものは、
正しく理解していれば得をするが、
理解・対策ができていないと損をするというものが多く、
このインボイス制度も同様のことが言えます。

そこでこのインボイス制度について
まずは正しく理解することと、
その上でどのように対応していくべきかをお伝え致します。

かなり長くなるので前半・後半の2回に分けさせていただきます。


◆インボイス制度とは

まずは、この「インボイス」という言葉について整理していきましょう。

インボイスとは、適格請求書のことを指します。
つまり「国に認められた請求書」を意味します。

適格請求書保存方式をインボイス方式と呼びます。

インボイス制度とは、一言で言うと
「企業がインボイス方式にすることによって、
消費税の仕入れ額控除を受けることができる」
という制度のことです。

現在の状況と比較をすると分かりやすくなると思います。
インボイス方式でない今の状況は「帳簿方式」と言えます。

事業者が自ら記帳した帳簿に基づいて仕入れ額控除を算出して
消費税額を計算する方式です。

インボイス制度が施行されると、
国が認めた適格請求書=インボイスの発行や保存が、
消費税の仕入れ額控除を受ける条件となるのです。

そこで問題となるのが、
インボイスを発行するためには適格証明書発行事業者に
登録しなければならないといけないということです

適格証明書発行事業者に登録することによりインボイスの発行が可能となり、
インボイスでなければ消費税の控除を受けることができないという構図になります。

では対応としては「登録する」一択ではないかと思われる方も多いことでしょう。

ところがそうとも限りません。
一部の人にとっては登録することによって大きなデメリットがあります。


インボイス制度は、
「消費税の不平等を無くすための制度」とも言われています。

フリーランスや個人事業主など、年間売り上げが1000万円以下の事業者には
免税事業者と呼ばれ、消費税を国に納める義務がありません。

顧客からは消費税分をもらいますが、
その分の税金は利益として計上することができ、
「益税」と呼ばれています。

分かりやすく説明すると、
税抜き50円で仕入れて100円で販売する場合、
消費税が乗ると、
55円で仕入れて110円で売ることになります。

消費税のみの動きを見てみると、
5円支払って10円受け取っており、結果5円が残っています。

この場合、通常ならば消費税の差額分5円を国に納めますが、
納税事業者の場合は、5円の支払い義務がありません。

顧客から預かった消費税10円分をそのまま利益として計上することができるのです。

そして今回、インボイス制度において、
インボイスを発行できる事業者は納税事業者に限られるのです。

つまり、年間売上1000万円以下の事業者は、
インボイスを発行するためには納税事業者にならなくてはいけなくなり、
今後益税を受けることができなくなるのです。

単純に利益が10%減ることになります。

では、益税を捨てることはできないからといって、
適性請求書発行事業者には登録しない選択を取ったとした場合には、
どうなるでしょうか?

その場合には、取引先にインボイスを発行することができません。
取引先は免税を受けることができなくなるので、デメリットとなります。

するとその分の金額を請求されるか、
取引の継続を中止してしまう可能性が高くなります。

このようにどちらの選択をしたとしてもデメリットがあるため、
多くの反対や混乱を招いているのです。

今回はここまでとして、
次回はこの制度が実行される背景や具体的な対策をお伝え致します。

後藤
一覧へ戻る