攻めの人事
こんにちは!
ラストコンパスの笹川です。
積水ハウスが11年ぶりに人事制度を刷新し、来年度から導入・運用するようです。
大手のハウスメーカーの中でも特に高利益率の会社ですが、人材改革に力を入れています。
きっかけとなったのは2017年のとある事件でした。
「2017年セキスイ地面師事件」
地面師とは土地関連の詐欺を行うプロ集団とされます。
2017年、積水ハウスが約55億円を土地購入詐欺で騙しとられるという事件がありました。
事件の発端は、東京のとある一等地にある土地です。
そこは品川区の山手線五反田駅付近にあり、当時の地価で想定100億円とされていました。
不動産業界ではかねてより注目の案件であったそうです。
その土地の所有者と名乗る女性が積水ハウスに売買契約を持ちかけ、
当時の担当者は嬉々としてこれを進めました。
積水ハウスではマンション用地の取得に対して特別強みがあったわけではなかったため、
逆に該当案件の取得に躍起になり、異例のスピードで社内承認され、
地面師に対して億単位の支払いがすぐにされたようです。
地面師側で土地の権利書を提示しなかったり、
所有者の誕生日を正確に受け答え出来なかったりなどの不審な点がありながらも契約は進められました。
また不動産業界の慣例として、通常、土地の売買では所有者の「知人確認」がされますが、
この一件では、担当者の怠惰により実施されず、チェック機能が全く機能していなかったようです。
知人確認:土地の所有者の写真を近隣住民や知人に見せて本人確認すること。
なぜ、このような事態が起きたか。
住宅業界では地域密着型で事業を展開した方が強いと言われるため、
積水ハウスでも人の配置転換を長年せずに、支店・営業所の地元定着を推進していました。
それが逆に、人事制度の形骸化と担当の怠慢を招いたとされます。
つまり、監視の目が希薄の上、やり慣れた仕事であったために、
手抜きが発生したという事です。
そんな中で、積水ハウスは人事制度の見直しを決定しました。
主な改革内容としては、
・従来の等級制度を大幅に減らし、若手でも短期で管理職を目指せるようにすること。
・管理職はマネージャー職(支店運営の責任者など)とスペシャリスト職(経営企画部や設計部などの責任者)に分割すること。
・昇格、昇給については社員の能力と行動を評価し、賞与は会社業績を反映させること。
・一定期間で営業社員を配置転換すること。
「会社は内側から崩れていく」とよく言われますが、
人が悪ければ各所に歪みが起きていくもの。
人の個性や能力は変えづらいですが、
一方で市場の状況は刻一刻と変わっているはず。
人を変えるのではなく、
人事制度を柔軟に変えながら、
組織を変化できる体質にすることが生き残りの鍵かと思います。
ぜひ、評価制度や採用スキーム、教育分野などで攻めの人事をお考えください。
笹川