人事評価制度の在り方≪スキルと成果の違い≫
今回は、人事評価制度における
よくある失敗事例の一つである
≪スキルと成果の違い≫についてお伝えいたします。
人事評価制度は、
社員の意欲向上、目標認識、課題克服などの
人材育成に大きく貢献することは周知のとおりと思いますが、
その他にも、帰属意識や愛社精神の向上、
さらには人材採用にも大きく貢献してくれます。
人材採用に繋がることはイメージしにくい方もいるかもしれませんが、
人材派遣業者のアンケートによると、
入社理由と前職の退職理由のどちらにも、
「人事評価制度の有無」が上位にランクインしています。
実際に当社のメンバーに、
「なぜ、数ある企業の中からラストコンパスへの入社を選んだのか?」
という質問をすると、
社風・人・雰囲気・業務内容などの当然の回答と合わせて、
ほとんどのメンバーが
「人事評価制度が明確でわかりやすかったから」
という回答でした。
このように良いこと尽くめである人事評価制度ですが、
誤った作り方をしてしまうと、
まったく逆の効果になってしまうこともあります。
社員の意欲低下、目標の誤認識に繋がり、
帰属意識や愛社精神を失わせ、
誤った人材採用に繋げてしまうような事にもなり兼ねません。
効果的な人事評価制度を作成するために、
よくある失敗事例とその対策をお伝えしていきます。
★失敗事例
≪スキルと成果の違い≫について
人事評価シートの項目の中に、
「できるかできないか」の項目があってはいけません。
何故かというと、
例えば評価項目の中に「CADが使える」という項目が合った場合、
どのような不具合が起こるでしょうか。
CADが使えない人は、CADが使えるようになれば評価されるため、
必死に覚えようとするでしょう。
一見、外発的動機付けによる人材育成に繋がるような気がします。
しかし、CADが使えるようになった後は、
そして元々CADが使用できる人材に置き換えると
如何でしょうか。
すでにCADが使えるので、この項目においては評価が高くなります。
そしてCADが使えるというのは一度身に付いたら失われることはないので、
この項目が存在する限り、ずっと高評価となります。
特に新しいことせずとも、
毎回高評価が得られ、
毎年賞与をたくさんもらい翌年に大きく昇給していくことになります。
CADが使えない人からしたら、
格差の広がりに不満を抱きます。
そして必死にCADを覚えることになるでしょう。
そうすると、全員がCADを使えるようになり、
全員が高評価になります。そしてその状態が続きます。
全員が高評価のため、
賞与や昇給が高額になり続けるということになってしまいます。
それでは困るからといって、
正当な理由もなく評価項目から外してしまっては、
社員の反感を買ってしまいます。
このように、「一度見についたら失われないモノ=スキル」を
評価シートの項目に入れてはいけません。
項目に入れるのは、
「同じ業務を行った場合に、『人』や『その時々』によって差が出るモノ=成果」です。
先程の例でいうと、
「CADが使える」というのはスキル、
「CADを使って1ヶ月間に〇枚の図面を書いた」というのが成果です。
他にも例を挙げると、
「車の運転できる」➡スキル
「1年間無事故無違反」➡成果
「施工管理ができる」➡スキル
「施工管理における工程のズレが〇%以内」➡成果
とこのような違いです。
「成果」に関しては
同じ「できる」であっても、
人によって差が出ます。
また同じ人であっても、
前回は〇だったけど今回は✕というように、
その都度差が生じます。
このように、定期的な人事評価では、
「スキル」ではなく「成果」を入れ込みましょう。
では、スキルは必要ないのか、
スキルの差は人事評価に影響しないのか、
というともちろんそんなことはありません。
スキルが高いということは、
「それだけ任せることのできる業務の幅が広い」
ということになります。
日々の業務において、
与えられる業務のレベルが上がり、
責任も大きくなります。
つまり1日もしくは1時間当たりの
労働の価値が上がることを意味するので、
職務給や手当などのベースアップに結びつける必要があります。
その際の規定が曖昧では意味がありません。
身に付けるべきスキルは何なのか、
それらのスキルを身に付けたとしたらどのような報酬があるのか、
そして既に身に付けているスキルと現在の給与にミスマッチが生じていないか、
これらのことを行う必要があります。
今回は以上となります。
是非、「スキル」を人事評価シートから外し、
「成果」を図る制度にしましょう。
そしてスキルは別項目として、
必要スキル一覧表とその褒賞を作成してみてください。
ただし、一朝一夕でできるものではありません。
ある程度の素案を作成することは難しくありませんが、
現在の制度との調整や給与反映額の調整など
緻密なシミュレーションが必要となります。
また、一度作成して実行したからには、
すぐに取り下げることはできないため、
「ひとまずやってみよう」というわけにもいきません。
「早急かつ確実に制度を作成し、人材の活性化に繋げたい」
と思われる方は、是非当社の作成サービスを検討ください。
最後におまけです。
当社では必要スキル一覧表を下記のように作成しております。
(内部資料のため、詳細は伏せさせていただいております。)
スキルが身に付くと点数が加算され、
その点数に応じて能力手当がついていきます。
各自が自発的にスキルアップに取り組むことになるので、
人材育成に大きく貢献してくれております。
もっと詳しく見てみたいという方がおりましたら、
お問い合わせください。
個別にお見せすることはできますので。
それでは、最後までありがとうございました。
後藤