戸建て住宅の適正単価とは?
大久保です。
戸建て住宅の原価に関してです。
ハウスメーカーや工務店さんが、
1件の家を建てるためには、様々な下請け会社の協力が必要です。
まさに20社以上の会社の協力を経て1棟の家が建つわけですが、
その仕入れ費用は、「三者三様」
上記の言葉通り、まさに1社として同じ金額でない。
というのが実態として起こっています。
さらには全国で展開しているハウスメーカーであったとしても
各支店で原価の違いが生まれているくらい掴みどころがないようなモノであり、
全く同じ仕様で全く同じ家を建てる場合でも、
仕入れが安い会社/仕入れが高い会社
金額交渉が得意な会社/金額交渉が苦手な会社
では、その金額差は下手をすると500万円を超える場合があるのが現状です。
ですので、古くから
建築の原価は「ブラックボックス」と比喩されます。
10年前ならいざ知らず、
今このインターネット社会の最盛期である令和の時代において
「ブラックボックス」とは滑稽ですよね?
そこで今回は、
このブラックボックスの3つの理由をご紹介致します。
それは
1. 家の原価の主要部分は変動相場制
2. 材料の仕入れ値は受注棟数によって変動する
3. 地域によって価格が違う項目がある
です。
まず1の「家の原価の主要部分は変動相場制」ですが、
家を1件建てるにあたって材料費の多くを占めるのは、
木材/基礎などです。
ではこの大部分を占める木材は、
必ず一定の価格で仕入れれるわけではありません。
現在ほとんどの会社が国産材だけで家を建てているわけではなく輸入材に頼っている現状で、
輸入材を使用するということは、もちろん為替の影響を受けますし、
「ウッドショック」でご存知の通り、木材は需要と供給によって仕入れ価格が変動します。
更に基礎で使用される「鉄」も原油価格が変動すれば加工費用が変動しますし、
「生コン」も価格は毎月変動しています。
つまりこういった材料原価は常に変動しているのです。
常に変動する価格の適正単価を追うのはなかなかに骨が折れる作業であり、
一般的な中小の住宅会社は、相場を正確に捉えながら交渉を行うことは
難しいのが現状です。
そして、正確な情報がなければ、
鉄が上がったから‥ 生コンが上がったから‥ 木材が上がったから‥
と、通常の材料の値上がり幅以上に金額を上げられてしまうのです。
次に2の「材料の仕入れ値は受注棟数によって変動する」
ですが、
例えば、LIXILやパナソニックといったメーカーのキッチンがあれば、
そのメーカーの商品をハウスメーカーや工務店は直接メーカーから仕入れているわけではありません。
建販商社や一次問屋、つまり「商社」から仕入れています。
なぜそのような面倒なことをするのか?
それは住宅というのは、完工して初めて工事金額が全て住宅会社に
入るため、キャッシュフローの関係で
多くは現金払いではなく、手形や小切手、売掛金/買掛金といった販売形式をとっており
メーカー側はその商社を介して商品を降ろすことで、その回収リスクを
減らしているのです。
そしてその商社から仕入れる住宅会社もまた、回収リスク(財務内容)に応じて仕入れ金額が
変わりますし、年間受注棟数(発注数)によっても金額は変わります。
また、数千とある住宅会社の顧客開拓を
メーカーだけで行うことは難しいため、そこを商社に委託しており、
メーカーの営業部隊としての位置付けを商社は担っているわけです。
つまり、メーカーと商社の関係性によって
安く仕入れることが出来る商社、高く仕入れることしが出来ない商社が存在し、
それが最終仕入れ価格に影響するわけです。
最後に「地域によって価格が違う項目がある」
ですが、
地域によって違う項目とは、
1つは「労務費」です。
例えば東京の家賃相場と、福岡の家賃相場が違うように
1人の職人の1日の仕事に対する単価は地域によって変動します。
家を建てる「大工」「左官屋」「屋根屋」「基礎屋」「クロス屋」
など、この労務費はもちろん各都道府県、各企業に応じて変わります。
そして、原材料に関しても、
基礎に使用する「生コン」の単価は各都道府県によって違いますし、
木材も産地によって違いますし、雪が降る地方、寒い地方など、
気候などによっても必要な部材があり、
まさに冒頭で言った「三者三様」となるのです。
つまり、適正価格とはそれらの要素を考慮した
ものであり、価格比較サイトで簡単に出てくるものではないことは
ご理解頂けたかと思います。
私たちは、それら掴みどころのないような価格を
その企業の現在の状態や市場性を加味して診断するサービスを
行っています。
もしご興味があればぜひご利用ください。
では・・