伝染する頑張り
皆さん、こんにちは!
笹川です。
先日、会社でふと、
「もし、自分がいま一部上場のトップ企業で特に採用に力を入れている会社つまりは優秀な人材が毎年たくさん入ってくるような環境で勤務していた場合に、今と同じ働き方をするのだろうか」
「もし職場が、スポーツでは全国上位の成績を残した人間や勉強では東大や海外の大学をでたような人間がゴロゴロいるような環境なら今の私の仕事への向き合い方は何か変わるのだろうか」
「逆に、自分が非常にレベルの低い職場環境にもしいたときには働き方は変わるのだろうか」
と、なんとなく思ったので今回はその点について書かせていただきます。
結論から言えば、
一般的には職場環境によってその人の働き方や成果の出し方は変わってくると言われています。
「ケーラー効果」という言葉をご存知でしょうか。
これは現段階で能力が低い人間が集団の中で頑張りたい気持ちになり、周りに触発され、
その個人のパフォーマンスが上がっていく現象を指します。
仮に住宅営業の場面で、
各営業マンの売り上げがランキングなどで可視化された時に、
上位の人間の成績は現状よりも上がり辛く、下位の人間の成績がぐんと上がってくるタイミングがあります。
これを堅苦しく言えば、ケーラー効果と呼びます。
なぜこのような現象が起きるかというと、
下位の人間の方がパフォーマンス向上のモチベーションを獲得しやすいと言われているからです。
一般的には、
①自分より周りが優れている場合は、そこに近づけるように自然と努力をしていくこと
②周りの人や属する集団に迷惑をかけたくないという心理
③負けている状態を看過できないプライド などが動機として生まれていきます。
つまり、
意識の高い人や成績を出している人が1人でも多くいる環境の方が、
下位のレベルアップにもつながり、結果的に組織としては成果が大きくなるということです。
余談ですが、
ケーラー効果は男性より女性の方が生じやすいと言われています。
女性の場合は男性よりも集団に対する帰属意識が強くなる傾向にあるためです。
近年、採用の場面においては女性の営業社員の方が優秀で手抜きをしないと言われることがありますが、こういった理由があるからかもしれません。
大人数で同じ歩行をする”集団行動”というスポーツなどは競技人口として女性の割合が高いですが、
個人プレーをするよりも集団で成果を上げたい深層心理がそういった構造を作っていると思います。
(ちなみに、私は昔の恋人に「もっと成長を考えてる頑張ってる人と付き合いたい」とのことで別れを告げられたことがあります。たぶんケーラー効果のせいです。)
こういった心理は人事戦略にも活用されています。
例えば、面接の基準を上げることで、より優秀な人材を採用するようにしたり、
集団の規模を小さすぎまたは大きすぎないよう調整・編成変えしたりと社内活性化につなげられます。
一方で、その成績上位の人間を如何に輩出するのか。
今回はもう1つ「ピグマリオン効果」と呼ばれる考え方について触れさせていただきます。
これは、他人から期待を受けた人の方が成果を出しやすいという理論です。
アメリカの教育心理学者が提唱した考え方です。
ある学校で教師から期待をかけた生徒とそうでない生徒を実験的に用意したときに、
後々の成績の伸びが前者の方が大変大きかったとのことです。
これは子育てやスポーツにも通じる考え方だと思いますが、
ビジネスの場面でも上司や同僚から期待をされている状態がある社員(本人がそれを理解している場合)は成果を出しやすいと言えます。
上手い経営者であれば意図的に全社員に期待感を与えるような仕掛けをしていると思います。
このように作為的に上位の人間を作りながら、
下位の人の底上げをするような仕組みができれば会社全体の成果も大きくなってきます。
告知にはなりますが、
来月には弊社主催で「事業責任者育成」をテーマとした人材セミナーをZOOM開催いたします。
経営者の願いと社員のやる気をマッチさせる評価制度や、
KPIや企業理念などを複合的に用いた効率的教育法などをご用意しておりますのでご期待ください。
それでは失礼します。
PS:ピグマリオン効果の逆には、ゴーレム効果というものがあります。
これは、「この人はできない人だ」と思いながら人に接した時に、接せられた人は悪い成果を出しやすい傾向があるという理論です。
企業ではもちろんのこと、友達関係や家族などでも気をつけたいところですね。