就職・採用における最大の失敗
先日、ある体育大学から依頼を受けて、
就職活動中の学生に向けたセミナーを校内で開催しました。
大学を中退している私が、
まさか大学で学生に対して就職に関するセミナー講師をする日が来るとは…
少し複雑な気分です。。。
依頼を受けたときには、
「就職できない学生が多いのかな?」
と思いましたが、そうではありませんでした。
確かに、いまは求人倍率が非常に高く、
内定をもらうこと自体は以前と比べて容易となっているし、
一搬的にスポーツ系の大学は、真面目で元気のよい学生が多いため、
能力よりも人間性を重視する企業からは人気があります。
実際にこの大学も8割が運動系の部活に入っているほどスポーツに力を入れており、
企業からの評判は非常に良く、就職率自体は悪くないようです。
では、どのような依頼内容なのかというと、
「勤めるべき企業の選び方を教えて欲しい」
という依頼でした。
就職自体はスムーズに進む学生が多く、特に問題がありません。
しかし、就職した後に長続きせずに辞めてしまう卒業生が多くなっているようです。
そのことに危機感を感じており、就職に失敗しないための企業選びのコツを学生に教えてあげて欲しいということでした。
そしてこの問題は何もこの大学に限ったことではありません。
いま、新卒の入社3年以内の退職率が全国平均で33%を超えており、年々増加傾向にあります。
せっかく苦労して就職活動に励み、複数の企業から「ここだ!」と思える企業を選び、
夢と希望に満ち溢れて就職したにもかかわらず、
3人に1人以上が3年以内に辞めてしまっているのです。
私は就職における最大の失敗とは
「勤めるべきでない企業に勤めてしまい、貴重な数年間を無駄にしてしまうこと」
ではないかと思います。
3年以内で辞めてしまっては、その会社やその仕事を十分に理解したとも言えません。
短期間での離職は次の就職にも支障が出ます。自身も失ってしまうかもしれません。
また、辞めクセも付きやすくなります。
就職が決まったときには喜んでいた家族も残念がるでしょう。
残念ながら就職に失敗したと言えてしまいます。
また企業側から見ても大きな損失です。
学生を採用する労力もあることながら、
右も左もわからない新社会人に対して、イロハを教え込み、
これから戦力と思っていたところで退職。
いままでの労力と時間が無駄になってしまいます。
また、活躍の見込みがないまま、
辞めもせず在籍し続けることも損失です。
いずれにしても、採用すべきでない人を採用してしまうことが、
企業における採用の最大の失敗と言えるでしょう。
では、なぜ早々に退職してしまう人が多いのでしょうか。
退職理由はそれぞれですが、特に多いのは下記の4点です。
・人間関係の問題。会社の雰囲気になじめなかった。
・給与や待遇面での不満。
・やりたいことと違った。
・将来のビジョンが見えなかった
さて、これらの内容ですが、
事前に確認していなかったのでしょうか?
おそらく入社前の段階では、
この会社なら良い人間関係を築くことができそうだと思っていたことでしょう。
給与や待遇面もしっかり確認したことでしょうし、
やりたいことややりたいこととそう離れていなかったからこそ入社しようと思ったはずです。
同様に将来性も確認していたはずです。
事前に確認していたはずなのに、
なぜこのような『思っていたのと違った』ということになってしまったのか…
その最大の要因は、
学生は内定をもらうことを目的としてしまい、
企業は採用することを目的としてしまっている
ことがあげられます。
学生は内定を得ることで安心したいので、
企業の採用担当者に少しでもよく見えるように、
自分を偽ります。
企業も入社希望者を一人でも増やしたいので、
会社の良い部分だけをアピ-ルして、
実際よりも素晴らしい会社を演じます。
つまりお互いが偽りの仮面を被っている状況でお見合いをしているようなものです。
結果として入社してみてから、
学生は「こんな会社とは思わなかった」と思い、
企業は「こんな人材とは思わなかった」と思います。
学生は内定をもらうことを目的にしてはいけません。
企業は採用することを目的にしてはいけません。
本来の目的は、
学生は、勤めるべき会社に勤めて、長期にわたって活躍すること。
企業は、求める人材を採用し、長期にわたって活躍してもらうこと。
ではないでしょうか?
そのためにはお互いが背伸びをせずに、
ありのままを見せ合うような選考をする必要があります。
選考の進め方や見極める方法など、
興味がある方はお問い合わせいただくか、
弊社セミナ-にてお聞きください。
最後に、
この大学には少し変わった風習があります。
それは、学校内ですれ違った人に対して、
知らない人であっても挨拶をするという風習です。
もちろん事務的な挨拶ではなく、
笑顔で元気のよい挨拶です。
学生たちは毎日何十人もの人に挨拶をしているわけですから、
初対面の私に対しても、非常に気持ちの良い挨拶をしてくれました。
挨拶は人間関係の基本中の基本であり、当たり前の行動ですが、
出来ていない人が多いのも現実です。
当たり前のことを当たり前のように実行できる習慣を作る風習として、
非常に素晴らしく感銘を受けたので、ここに書かせていただきました。
最後までご拝読いただき、ありがとうございます。
後藤