効率と相反するもの

ラストコンパスの方針の一つに
「自分自身で評価をしない」
というものがあります。

例えば、自分自身で良いプレゼンができたと手ごたえを感じていたとしても、
相手が理解や納得をしていなかったとしたら、
良いプレゼンではなかったということになります。
その人を評価するのは本人ではなく、他人や結果であるということです。

そのことを踏まえた上で、
私はよく担当した研修の後などに、
「人前で話すのがうまい」、「話が分かりやすい」という言葉を戴くことがあります。

このことは、自分自身で評価をするわけではなく、
聞き手の評価にあたるので、素直にうれしく思っております。

しかし一方では、
うまく話せたり、分かりやすく話せるのは当たり前だとも思っています。

これはプロである以上、当然の義務であるということもありますが、
今回はもう一方の観点からお伝えいたします。

なぜ当たり前なのか?
得意だから?才能があるから?

いえいえ、とんでもありません。

答えは、
「うまく、分かりやすく話せる状況を事前に整えているから」
でした。

私が研修やセミナーなど、人前で話すまでの過程をお伝えいたします。

もし1時間の内容を作ろうと思ったら、私はまず3時間分の内容を作ります。
そして3時間分の中から、重要な1時間分に絞っていきます。
そうすることで、限られた時間の中で、できる限り良い情報を届けることができるようになるからです。
しかし、せっかく何時間もかけて作成した2時間分の内容を捨てることになります。

とは言っても、ただの消去作業ではありません。
AとBのどちらも伝えたいが時間が足りない場合、
A、 Bどちらも端的に伝えることのできるCを探します。

しっくりこない箇所は0から作り直すこともあります。

そしてそのあと、実際に声に出して何度も話します。
うまく話せなかったり噛んでしまった箇所は何度も反復して練習します。

また、同じ個所の言い回しや例え話を変えて、何パターンも試します。
そしてその中で最もしっくりくるフレーズを探します。

さらには本番のつもりで身振り手振りまで含めてリハーサルをします。
例え、たった1回きりの内容であってもです。

リハーサルがうまくいかなかったら何度もやり直します。
声を出せない状況であったら、頭の中で何度も話します。

そして、間違いなく良い話ができる状況が整ってから初めて演台に立ちます。

いかがでしょうか?
うまく話せて当たり前だと思いませんか?

当たり前ですよね?
しかし、私がやっていることはかなり不効率だと思います。

効率を求めるのであれば、初めに目次を作成し、無駄のないように元々描いていたゴールに向かって一直線に進むことが良いでしょう。
台本に押さえるべきポイントがしっかりと入っていれば、
大した練習やリハーサルをしなくても、ある程度話すことはできるでしょう。

最小限の労力と時間で、80点くらいのものが出来上がり、非常に効率的と言えます。

しかし、一見無駄とも思えるこの遠回りこそが、
80点を100点に近づける最良の方法だと思っています。

成果を上げるためには、効率化が必要です。
しかし人が成長するためには、
どれだけ目の前の仕事と真剣に向き合ったかという絶対的な量が必要だと思います。
それは、「費やした時間の長さ」であったり「話した言葉の数」であったりします。

世の中には、成長と相反する効率化が多く存在します。

例えば、
商談の直前に提案書を作成することも、
一夜漬けのテスト勉強も、
ネットで物事の表面だけを検索することも、
先輩社員のパフォーマンスだけを真似ることも、
すべて効率的と言えば響きは良いのかもしれませんが、
「優・良・可」でいう「可」で満足する考え方が根本にあり、
それ以上の成長は見込めないのではないでしょうか。

成長の余地があまりないものに関しては効率を追求しましょう。
しかし一方で、まだまだ発展途上で成長の余地を十分に残していることに関しては、
効率を無視して、許されるだけ時間を使い、トコトンまで向き合ってみると良いでしょう。

例え成果としては見えにくい費やした時間や努力があったとしても、
それは次の作品を生むための礎になっており、
決して無駄ではなく、能力や経験としていつまでも残ることでしょう。

後藤

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