住宅営業におけるインセンティブの考え方2
こんにちは。
前回に引き続き、
住宅業界の営業職におけるインセンティブの考え方についてお伝えいたします。
営業インセンティブ(報酬制度)は社員の外発的動機付けに大きく貢献するため、
多くの住宅会社が導入しています。
しかし最近では、営業インセンティブをつけない住宅会社も増えてきております。
営業スタッフの意欲向上につながることは周知の事実であるにもかかわらず、
なぜ営業インセンティブをつけない企業が増えているのか、
今回はその要因を考えていきましょう。
まず、営業インセンティブによる悪影響を分析します。
営業スタッフの意欲や達成感を与えるというメリットはもちろんありますが、
同時にデメリットもあります。
代表的なデメリットとしては、下記の4つが挙げられます。
1.減給による退職の増加
2.育成段階のスタッフの意欲低下
3.業務の質の低下
4.チームワークの阻害
ひとつひとつの詳細と簡単な解決方法を述べていきます。
1.減給による退職の増加
インセンティブがあると給与が大きく増減します。
成績が良い時期もあれば落ち込む時期もあり、
時として数百万円の減給ということも想定されます。
大人数を採用してふるいにかけ、「売れない社員は不要」と切り捨て、
社員を捨て駒のように扱う企業であれば問題ないと思いますが、
多くの企業はそうでないと思います。
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インセンティブ比率(年収に対するインセンティブ受給額の割合の平均)を
大きくし過ぎないことをお勧めします。
(目安:10~30%程度)
代わりに査定による昇給や昇格に紐づけることで、
安心して長く働くことができる会社にしていくとよいでしょう。
2.育成段階のスタッフの意欲低下
安定して高いパフォーマンスを維持できるレベルに達すると、
生活の安定や将来の安心にもつながりますが、
まだ育成段階で成果を出すことができない時期や安定しない時期においては、
充分な報酬を得ることができません。
そのことによって「先が見えない」「この仕事には向いていない」と考えることで、
退職につながるケースも少なくありません。
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上記の通り、インセンティブ比率を下げることがひとつの解決策になります。
また、業績を出すことができない育成段階においては、
いずれ業績につながるであろう業務自体を評価することや、
契約までを一人で完結できない場合には、
部分実績によるインセンティブの按分等の解決方法もあります。
長くなるので詳細は割愛いたします。
いずれにしても、育成段階のスタッフに明るい未来を見せるためには、
未経験から一人前になるための育成ロードマップを社内で作成する必要があります。
3.業務の質の低下
受注や売上を上げさえすれば高評価を得ることができると思わせてしまうことで、
質の低下を招く原因になります。
例えば顧客満足度の低下やクレームの増加等、
企業としては力を入れるべき重要な要素であるにもかかわらず、
仕事の量のみを最優先してしまう可能性も考えられます。
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「量の成果」はインセンティブで問題ありませんが、
同様に「質の成果」は人事考課によって意識づけすることをお勧めします。
例えば、顧客満足度やクレームの有無、その他にも社内ルールの遵守や勤務態度など、
会社が重要視する項目について、一定のルールに従って評価します。
その評価結果によってインセンティブの受給額が増減する
(高評価の場合には受給額が1.2倍に、低評価の場合は0.8倍になる)
ような制度にするのも一つの方法です。
そうすることで量と質の両方に目を向くことになり、
質の低下を免れることができます。
4.チームワークの阻害
営業職にのみインセンティブが存在する場合、
他の部署は軽視されていると感じることがあります。
また営業職も自らのインセンティブを多く獲得するために、
他者への気遣いや配慮が欠けてしまうこともあるでしょう。
それによって営業職とその他の部署間に軋轢を生むことも考えられます。
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営業職が受注数や売上を高く評価することと同様に、
技術職は各自の技術を高く評価することが望ましいと考えます。
各自の技術レベルに応じた手当を支給する制度を導入することで、
営業インセンティブに代わる評価軸を設けることをお勧めいたします。
当社では職能制度と定義しておりますが、詳細はまた後日お伝えいたします。
もちろん今回の内容は営業インセンティブを否定するものではありません。
インセンティブのメリットは非常に大きいため、
デメリットをしっかりと把握した上で、社員を正しい方向へ導く制度をつくることで解消できます。
今回はここまでとなります。
2回に渡り、住宅業界の営業職におけるインセンティブについてお伝えしましたが、
次回は営業職以外の部署にインセンティブをつける場合の事例をお伝えいたします。
後藤